野球をよく知らないという子によく聞かれる、ある共通した質問があります。
「その選手はピッチャー?バッター?」
きっと、今読んでくれている方はどちらの立場であろうとも少なからず共感してくれていると思います。
この質問のどこがおかしいのかキョトンとしてしまう方、野球の試合構成について一緒に勉強していきましょう!
野球の試合ってどうやったら終わるの?
サッカーは45分×2とハーフタイム15分
バレーボールは25点×2セット先取
プロ・アマ・性別等によってこのルールは多少変わりますが、時間制限、もしくは決められた点数の先取制がほとんどのスポーツの終わり方。
野球はそう考えると特殊かもしれないです。
9回。
これが、野球で1チームが1試合のうちに攻撃できる回数。
こんな表を見たことはないでしょうか。
1から数字が最上段に入っていますが、これが回数。
1回ごとに、自チームに入った点数が下2段に記入されていきます。
点数が入らなければ0がここに入る。
1回から9回まで全て数字で埋まったら、試合終了。
点数は、「コールドゲーム」などのルールが採用されていない限り、永遠に取ることができます。
そして表の点数部分が2段に分かれている理由はこちら。
上段が「表(おもて)」:先攻のチームの点数
下段が「裏(うら)」 :後攻のチームの点数
先攻後攻の決め方は様々です。
じゃんけん、コイントス、くじ引き…。
プロ野球は、自チームの球場で開催する場合は後攻と決まっています。
先攻のチームと後攻のチームが攻撃を繰り返し、9回に辿り着くまで点数を取り合います。
最終的に、点数が多い方が勝利となるのです。
9回の時点で同点だったら?
9回裏終了時に同点だった場合の対応はプロ・アマ・大会の種類によって変わってきますが、公式試合での一般的なルールは「延長戦」。
裏の攻撃の終了時にどちらかが多い点数を取るまで回を延長します。
プロ野球は最長12回まで。
12回までやっても同点だったら…その試合は引き分けになります。
*余談
この延長戦においては数々の伝説の試合がありますが、パッと今思い付くのは2006年の夏の甲子園の決勝ですね。
ハンカチ王子こと斎藤佑樹投手とマー君こと田中将大投手の白熱が話題となった、早稲田実業学校高等部 vs 駒澤大学附属苫小牧高等学校。
限界の延長15回まで死闘が続くも、1-1で同点で終了。
37年ぶりの決勝戦再試合となりました。
あれは暑い熱い試合でした…。
先攻後攻はどう入れ替わるの?
1回の攻撃が終わるのはアウトを3つ取られた時。
(1アウト:ワンナウト、2アウト:ツーアウト、3アウト:スリーアウト)
3つ取られるまでは、9人のバッターが順番に打席に立ち、相手ピッチャーと対峙します。
自チームが攻撃の場合:”バッターとして”試合に参加する
自チームが守備の場合:”野手として”試合に参加する
この対峙する様子を見て「ピッチャーなの?バッターなの?」という質問が飛び出すのだと思います。
ピッチャーは野手のポジションの内のひとつなので、その選手がピッチャーの場合は、守備の時はピッチャーをやり、攻撃の時はバッターをやります。
…つまり、ピッチャーでもありバッターでもあります。
守備位置についてはこちらをお読みください!
coming soon…
ピッチャーのポジションの選手が攻撃の際にバッターになるのは普通のことなのですが、プロの世界ではこの両立がものすごく難しいです。
トップレベルのバッターたちに対してトップレベルのピッチャーを用意しておかないと、どんどん打たれる結果になってしまいますよね。
そのため、ピッチャーはピッチング練習に専念し、バッティングはそこまで力を入れていないので、打順も9番目になることが多いのが現状です。
DH制が導入されているリーグは、バッターとしてのみ参加する選手をひとり用意できるので、ピッチャーは攻撃には参加せず、代わりに打つ方に専念する「指名打者」が打席に立っています。
※DH=Designated Hitter(日本ではパ・リーグで採用)
だからこそ!二刀流を貫いている大谷翔平選手がすごいと言われているのです。
しかも、それをMLBという最高峰の舞台で実行し、ピッチャーとしてもバッターとしてもとてもいい成績を残しているので、伝説的な存在として崇められているわけです。
実際にピッチャーもバッターもやる選手は普通に多いけれど、プロの世界で好成績を残しながらどちらでも活躍をしている選手は、大谷選手だけですからね。
独特な試合構成による野球ならではのおもしろさ
例えば、残り1分で2点差があるサッカーの試合の場合、そこから逆転するのは…奇跡が起きない限りはまず厳しいでしょう。
でも野球は、時間制限もなく点数先取で試合が終わるわけでもないので、本当の最後の最後まで何が起こるかわからないのです。
「野球は9回裏2アウト」からという言葉を耳にしたことはないでしょうか。
観客の誰もが諦めていたところで10点差をひっくり返すという、とんでもない試合に遭遇することがあります。
野球は試合時間が長いからと敬遠されがちですが、こんな試合構成だからこそ楽しんでもらえる魅力は、ちゃんと詰まっているのです。